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【Bach】トランペット界のストラディバリウスを紹介!

【Bach】トランペット界のストラディバリウスを紹介!

悩んでいる人

バックのストラディバリウスモデル(180シリーズ)の詳しいスペックを知りたい。どんな特徴があるの?バックには個体差があるって聞いてちょっと不安……

 

こんな方にオススメの記事です。

 

はじめに

こんにちは、Hikaruです。

皆さんはストラディバリウスをご存知でしょうか。

ストラディバリウスは17~18世紀ごろにストラディバリ父子によって製作された弦楽器の中でも最高の名器の一つで、世界に600挺程度しか現存しておらず、非常に希少性の高い楽器として数億円の値段が付くこともあります。

実はトランペットにもストラディバリウスの名前を冠する楽器が存在しています。

それがバックのトランペット、180シリーズと呼ばれるモデル群です。

トランペット奏者の間では最早説明不要のモデルで、1924年にバックトランペットが生まれて100年近く経つ今も世界中で愛されているモデルです。

当時生まれて間もないバックトランペットを手にしたプレイヤーたちは、そのあまりの出来のすごさに「これはトランペットにおけるストラディバリウスだ」と評したことから、ベル刻印に「Stradivarius」と刻まれるようになりました。

今回はそのトランペット界のストラディバリウスこと、バックトランペット180シリーズについて解説していきます。

180シリーズ(通称:ストラド)

ストラドはバックのフラッグシップモデルで、看板ともいえるモデルです。学生からプロまで幅広く愛され絶大な支持を得ているトランペットの名器です。

ストラドは俗に太い響きとやや重たい吹奏感を持つと言われます。それはシルキーやヤマハに比べ楽器そのものの重量があること、そして楽器の設計によるものです。

重たいものを動かすのにエネルギーが必要なように、楽器が鳴るまでに必要なエネルギーの差が、音色や吹奏感にも影響を与えているのです。

ストラド180シリーズの中で最も人気のスペックは以下となります。

  • ベル:一枚取り
  • 仕上げ:銀メッキ
  • 材質:イエローブラス
  • ボアサイズ:ML

この厚みのある音色とやや丸みのある独特のイントネーションがバックの特徴で、今なお他のメーカーが基準にしている伝統的なトランペットの音です。

ベル

バックのベルは一枚取りと呼ばれる手法で作成されており、これは一枚のイチョウ型の金属の板をハンマーで叩いてベルの形にしていくものです。

一枚取りのベルは金属が唇の振動にしっかりと反応してくれるため、フォルテで吹き込んでも音が止まらずに飛んでいく印象があります。

抵抗感が少ないので、その分中途半端な息や振動だと鳴りきってくれないということも有り得ますので、ある程度訓練されたプレイヤー向きになります。

一枚取りに対して二枚取りという大量生産に向く製作手法がありますが、これは人間があまりベルに手を入れず機械で大半の工程を行います。

一枚取りの方が抵抗が少なく、息を入れた分だけ振動してくれるのは、金属を人間の手で叩いて加工する(ハンマリング)ため、金属の組成に変化が出るためだとされています。

まさに職人の血と汗の結晶が、このバックトランペットのベルなのです。

仕上げ

銀メッキはトランペットの音をしっかりとまとめてくれる役目を持っており、抵抗感の少ない一枚取りのベルに程良い抵抗感を与えてくれます。

そのためバックのトランペットは大半が銀メッキ仕上げで販売されており、最も相性が良いとされています。

他にもラッカー仕上げのものや、金メッキ仕上げのものも存在します。

ラッカー仕上げは銀メッキに比べ歯切れが良く明るい音色で音抜けが良いですが、抵抗感がさらに少ないのでセッティングでカバーした方が吹きやすくなります。

金メッキは銀メッキの上からさらに金メッキをかけているので抵抗感はかなり強くなりますが、その分鳴りきった時の音色は銀メッキよりも迫力のあるものとなります。銀メッキよりも艶のある音といった印象です。

材質

多くのトランペットに使用されているイエローブラスを採用したモデルが大半を占めており、バック特有の張りのある音を実現しています。

オプションでゴールドブラスの楽器も販売されており、イエローブラスに比べて柔らかく厚い響きを持ちます。ゴールドブラスはドイツ的な音色ともされており、創業者のヴィンセント・バック氏の出身であるオーストリアでは一般的な音色だったのかもしれません。

★真鍮、ベルの材質についてはこちらの記事にもまとめてありますので、詳しく知りたい方は合わせてどうぞ。

バックトランペットのオプション

バックのトランペットはベルやマウスパイプに名前が付いていて、モデルによって使用されるものが異なります。

上で紹介したストラドのMLボアのモデルでは、37ベルと25マウスパイプが使用されています。この組み合わせが最も人気かつスタンダードで、これこそがバックサウンドを実現しているとも言えます。

他にもいくつかのバリエーションがあり、例えばLボアの楽器では25ベル25パイプが標準で使用されています。

これは特注によりカスタマイズすることが可能で、MLボアのモデルに25ベルを用いることで音や吹奏感に変化を出すこともできます。

ベルの一覧

37:密度のある豊かなサウンド<MLボアにおける標準>
25:細身で、37ベルに比べタイトでまとまりがある<Lボアの標準>
38:コンパクト<Mボアの標準>
43:37ベルに比べ、広がりがあり、輝かしく、抜けがよい<XLボア>
65:太く、暗い音(ドイツサウンド)
72:37ベルに比べ、力強くパワフルで暗いサウンド<MLVの標準>
※それぞれ、ライトウェイトのタイプがあります。

マウスパイプの一覧

25:適度な抵抗感があり、音を生み出し伝える役割をするマウスパイプとしての傑作<M、ML、Lボアの標準>
6:25に比べ、僅かに狭く設計されています
7:25に比べ、暗い音で、自由な吹き心地
25-O:25に比べ、オープン<XLボア・LT180-72の標準>
25LR:25マウスパイプを長くして、リバースチューニングスライドに対応したモデル
43:25に比べ、オープンな感覚で、抵抗感が少なく、柔軟性が高い<MLVの標準>
43LR:43マウスパイプを長くして、リバースチューニングスライドに対応したモデル
44:43に比べ、より輝きがあり、柔軟性が高い

「バックは個体差が大きい」はもう古い?

ストラドは大半の工程を手作業により製作されているため、職人ごとの手癖の違いやその時々によって楽器全体のバランスが微妙に違う個体差が生まれてきました。

時には創業者であるヴィンセントが開発した設計図を無視して職人個人の好みの楽器が作られていたこともしばしばありました。

そのため品質にバラツキが多く見受けられ、楽器に「アタリの個体」と「ハズレの個体」が生まれてしまうなど、バックのトランペットを購入する時には注意が必要と言われてきました。

実際に20年ほど前まではこの個体差は馬鹿にできず、個人の骨格の違いによっては合う楽器と合わない楽器がはっきりと分かれ、自分の使っているストラドは問題なく吹けるが、他人のストラドを借りて吹いてみたら全然吹けなかったということもザラにありました。

しかし、このような事態は2006年を境に大きく変わります。

2006年、バック社の中で楽器の品質のバラつきを無くそうというプロジェクトが動き出したのです。ヴィンセント没後30年の節目の年でした。

ヴィンセント・バックが遺した設計図を見直し、その基本設計の偉大さを再認識することで、徹底して現在の製作工程の見直しした結果、現在のバックは個体差がかなり少ないメーカーになりました。

もちろんそれでも日本ほどの徹底した品質管理には届きませんが、以前のように職人が自分好みで楽器を製作していた頃とは比べ物にならないくらい、全体の品質が均一になりました。

なのでバックは2006年以前とそれ以降で楽器の性格が少し異なります。

2006年以前の楽器は武骨で厚みのある音色がかなり色濃く出ていたため、初心者には扱い辛い楽器でした。良くも悪くも楽器の個性が強かったのです。

2006年以降に出てきた楽器は見た目も少しスマートになっており、厚みのある音色の面では多少落ち着きましたが、吹きやすさと全体のバランスが大きく向上しているため、伸びしろのある楽器に姿を変えました。

私は2006年以前に生産されたストラドを15年ほど使っていましたが、最新のストラドを改めて吹いてみると大変吹きやすく、プレイヤーのカラーが反映される楽器だと感じました。

なので以前までは初心者には敬遠されがちだったバックも、本当の意味で初心者からベテランまで誰の手に渡っても間違いない楽器として、今も世の中に出回っています。

そんなトランペット界のストラディバリウスを、あなたもぜひ試してみてはいかがでしょうか。

今回はここまで、それではまた!

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ほぼ同じグレードのヤマハXenoトランペットの記事です、選択肢の一つとして参考にどうぞ。

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