悩んでいる人
こんな方にオススメの記事です。
この記事のもくじ
はじめに
こんにちは、Hikaruです。
皆さんはトランペットの管内洗浄をリペアにお願いするとどれくらいお金がかかるかご存知でしょうか。
基本的に店舗で大掛かりに行う管内洗浄には各種抜き差し管の調整も実施する必要があり、その価格は銀メッキの楽器なら最低でも2万円前後になってしまいます。
チューバのような大きい楽器だと更に価格が上がってしまうので、いくら半年や一年に一度実施するにしても、やはりこの出費は痛いです。
今回は金管楽器を持っている方にはついて回る掃除の問題、これを自宅で自分の力で、安く行う方法をご紹介します。
管内洗浄の方法は大きく2種類
自宅でできる管内洗浄は大きく分けて二種類あります。
- 洗剤やジッポオイルを用いる方法。
- 酸などの薬品を用いる方法。
洗剤やジッポオイルを用いる方法
一つ目の方法は、主に楽器についたオイルやグリス、溜まってしまった汚れを落とすためのものです。
恐らくみなさん馴染み深い掃除の方法ですね。洗剤は楽器専用のものでブラスソープなどが売っていますが、私は面倒くさがりなので食器用の洗剤で代用しています。
ただし注意が必要で、なるべく中性のものを使用するのが好ましいです。ご自宅で使っている食器用洗剤が中性だったらそのまま流用してしまえば良いでしょう。
ジッポオイルを使った掃除方法は楽器をばらし、ジッポオイルを含ませたティッシュ等をクリーニングロッドに巻き、管内のグリスやオイルの汚れを取るのが主な用途となります。
合わせ技として、ジッポオイルでグリスやバルブオイルを拭き取った後に、ぬるま湯と食器用洗剤を混ぜた溶液にばらしたパーツや楽器を漬け込むことで更に汚れを取る方法もあります。
最後に水ですすいで水分を拭き取ることを忘れずにやりましょう。
こちらの掃除は一ヶ月に一回くらいのペースでやると、常に楽器を最良の状態に保っておけるので、パフォーマンスも維持できるでしょう。
大半の汚れはこちらの方法で取り去ることができますが、管楽器には更に根深い汚れ問題があるのです。
酸などの薬品を用いる方法
長く使った楽器だとどうしても出てきてしまう問題……それがサビです。
マウスパイプや抜き差し管を覗くと、中が青くなったり白くなったりしているのを見たことがありませんか?
★中の方が青くなっているのが見えますよね。
青い部分は緑青(ろくしょう)と呼ばれる、真鍮に含まれる銅の成分が酸化してしまうことで出るもので、白い部分は水分や呼吸に含まれるカルシウム分が長い年月で固まってしまったものです。
残念ながらこれらはジッポオイルや洗剤ではほとんど落とすことができません。
楽器屋やリペアで行う管内洗浄は酸性かつ楽器にダメージをなるべく与えない特殊な薬品を用いるため、この汚れも落とすことができますが、お金も預けている間の時間(場合によっては一ヶ月近く)もかかってしまいます。
できるならば自分でやってしまいたい……。
ケチくさい私は色々調べてみました。そして見つけたのが二つ目の方法、酸を用いた管内洗浄です。
ですが「酸性の薬品なんてそんなに身近にあるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実は身近にあります。それがこちらです。
というわけで私が使用しているのはクエン酸(粉末タイプ)です。
食品や洗剤としてよく使われているものなので、安全性は抜群です。薬局などに売っている袋詰めされて500円程度で購入できるものであれば何でもOKです。ちなみに調味料のレモン汁でも代用可能です。
クエン酸を使った掃除方法
掃除方法は至ってシンプルなので、順番に解説していきます。
今回は酸性のものを扱う関係上、長時間溶液に触れていると手が荒れてしまう恐れがありますので、ゴム手袋をはめての作業がオススメです。
まずクエン酸と水またはぬるま湯を入れ物にいれてよく混ぜます。粉末が溶け切らないほどだと入れ過ぎなので、ちょうど溶け切るくらいにしましょう。
★入れ物はプラスチックのカップや洗面器などがオススメです。
次にこの溶液を抜き差し管に直接注ぐか、洗面器等に溶液を張ってそこに抜き差し管やパーツを漬け込みます。汚れの程度によって、数分~20分くらいおいておきます。
直接注ぐ場合は倒れないように立てかけるなどしましょう。これによって管内のサビやカルシウム成分が溶けていきます。
★こちらの例では抜き差し管に直接注いでいます、メッキ等のダメージを最小限にしたい方はこちらがオススメです。
※抜き差し管入浴(?)中です。
時間が経ったら溶液を捨てましょう。溶液が青くなっているのが分かります。サビが酸のおかげで溶け出してますね!
その後管を水洗いしながらブラシ等で擦ります。クエン酸駅が残らないように注意しましょう。
水分を拭き取ってスワブを通したら……
これでお掃除完了です、比べてみると一目瞭然ですね。
今回は抜き差し管やパーツ向けに紹介しましたが、楽器全体のサビを取りたい場合は、浴槽などにクエン酸を入れて水かぬるま湯を張り、管体ごと漬け込むこともできます。
いくらクエン酸とは言え溶液は酸性なので、楽器のメッキやラッカーにダメージを与える場合があります。漬け込む場合はクエン酸を少なめにしておくのが望ましいです。(やや洗浄力は落ちます)
- クエン酸(粉末)と水をコップ等に入れて混ぜる。
- 抜き差し管やパーツを1の溶液に漬け込むor流し込む。
- 十分程度漬けた後、溶液を捨てる。
- 抜き差し管やパーツをブラシ等で擦り、残った汚れを落とす。
- 抜き差し管やパーツを水でよく洗い、溶液を落とす。
- 水分を布などで拭き取って、完了!
オススメのブラシ
今回私が使用した楽器専用のブラシです。
毛先が柔らかいので管を傷つけることなく掃除が出来るクリーニングロッドタイプと、紐が付いていてグニャグニャと曲がるので管のU字部分も綺麗に掃除できるタイプの二種類が同梱されています。
HW PRODUCTS ブラスセイバー フリューゲルホルン用
HW PRODUCTS ブラスセイバー バリトン・ユーフォニアム用
まとめ
今回ご紹介した方法ならば、数百円のクエン酸と水道代だけで取れにくいサビを除去し、楽器を綺麗にすることができます。
特に楽器の多い吹奏楽部や楽団で所有する全部の楽器を業者に出して洗浄してもらうとなると、莫大なお金がかかってしまいますので、極力経費を減らしたい団体様などにはオススメの節約術です。
サビはひどくなると管の中で息の流れを邪魔して、パフォーマンスが落ちる原因にもなりますので、出来るだけ普段からサビができないように、練習後は水分を取るなどしていきましょう。
今回の方法は、主に抜き差し管やパーツ向けの方法になります。ロータリーなどが使われている楽器(トランペット以外の金管楽器)の本体を酸に漬け込むことは難しいので、そこまでを望む場合には潔く業者へ持ち込みましょう。
ただし抜き差し管やパーツであればどの金管楽器にも使える方法なので、手間を惜しまないという心意気のある方、ぜひクエン酸管内洗浄をお試しください!
今回はここまで、それではまた!
金管楽器のメンテナンス用品についてまとめています。