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【図解】マウスピース大解剖、マウスピースの選び方まで解説!

【図解】マウスピース大解剖、自分に合ったマウスピースの選び方とは?

悩んでいる人

自分に合うマウスピースを探したいけど、どのように選べば良いのか分からない。マウスピースの違いについて細かく知りたい!

 

こんな方にオススメの記事です。

 

はじめに

こんにちは、Hikaruです。

金管楽器をこれから始める人にとって鬼門になるものの一つに、マウスピース選びがあります。

マウスピースはよく靴に例えられます。自分に合わない靴だと走りにくいように、合わないマウスピースを使った練習は上達の妨げとなってしまいます。

現在は多数のメーカーと星の数ほどのマウスピースが世の中には存在していて、ずらっと目の前に並べられるとどれが何やら分からなくなってしまいますよね。

靴などのスポーツ用品と同じく、マウスピースにも選び方があります。この選び方を押さえておけば、どのようなマウスピースがあなたに適しているかを判断することができます。

今回はマウスピースの各部分の名称や機能を解説しながら、どのようにしてマウスピースを選んでいけば良いのか、一緒に考えていきましょう。

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マウスピースの各部名称と役割

金管楽器のマウスピースは主に「リム」「カップ」「バックボア」で構成されており、それぞれが音色や吹奏感にとって重要な役割を持っています。

  1. リム:直接口に当たる部分。
  2. カップ:リムの下のお椀状になっている部分。
  3. バックボア:カップから下の部分。

①リム

リムは口周辺に直接触れるので、最も違いを感じやすい部分の一つです。

リムカンター(丸さ)

リムカンターは直接口周辺に触れる部分の丸さのことで、ここの形状によって口当たりが大きく変わります。いわゆる好みのマウスピースかどうかはここで判断されることが多いです。

丸いものはラウンドリム・平坦なものはフラットリムと呼ばれます。それぞれにメリットとデメリットあります。

リムカンターによる違い

ラウンドリム:唇の自由度が上がるためコントロールがしやすい。丸みが強いと鋭さを感じることもあり、バテやすくなる。


フラットリム:口にピタッとフィットするためバテにくい。唇の自由度が下がるため、コントロールしにくくなる。

並べて見ると一長一短ですね。

これらはあくまで傾向なので、最終的には自分の好みのものを選ぶのが良いでしょう。

リムの厚さ

リムの厚さもリムカンターと同様に、口に直接触れる部分となるためマウスピースによって大きな違いを感じます。

リムカンターとリムの厚さがマウスピースの第一印象を決定します。

リムの厚さによる違い

厚いリム:口周辺に接着する面積が増えるため、マウスピースへ振動が伝わりやすい。ハイノートが出やすくバテにくい。ただしリムがぴっちりと口周辺に触れるため、唇の自由度は減りコントロールが難しい。


薄いリム:口の自由度が増してコントロールしやすい。リムが口に食い込むため、人によっては痛みや不快感を覚える。

以下は大まかにリムの厚さをメーカー分けしたものです。モデルによっては違うものもあるので、あくまで目安として考えてください。

MEMO

・リムが厚いマウスピース:バック(クッションリムのモデル)

・リムが中間くらいの厚さのマウスピース:バック、ヤマハ

・リムが薄いマウスピース:シルキー

リム内径

マウスピースのスペック表を見た時に「内径:17.0mm」などの表記を見たことがあると思います。これがその内径です。

内径は大きいか小さいかで、音色や吹奏感に大きな違いが出ます。

リム内径による違い

大きい内径:低音域に長け、大音量で演奏できる。コントロールもしやすいが、息をたくさん使わなければならないのでバテやすくなる。


小さい内径:高音域に長け、バテにくい傾向がある。ただしコントロールが難しく、音量は小さくなりやすい。

マウスピース小噺

よく「内径の大きいマウスピースを使えるプレイヤーは上級者」という話を聞きますが、これは全くの間違いです。

確かに大口径のマウスピースを扱うには鍛えられた唇が必要になりますが、ではトッププレイヤー全員が大口径のマウスピースを使っているのかと言えば、答えはノーです。

ジャズプレイヤーはハイノートを要求されるため内径が小さく、カップが浅いマウスピースを使用する傾向があります。また著名なオーケストラ奏者でも内径が小さいマウスピースを使っている人がたくさんいます。

要はその人が演奏するジャンルや場面に適したマウスピースを使いましょう、というお話です。

リム内径もリムカンターやリムの厚さと同じように、その人に合った大きさというものがあるので、大きいのが使えない自分は上手くなれないのか……と途方に暮れる必要は全くありません。

あくまで追求するべきは自分に合っているか、そして良い音であるかどうかです。

リムバイト

リムバイトはリムの淵に当たる部分です。口当たりにも関わりますが、それ以上に音が出る瞬間のアタックや音程に大きく関わります。

リムバイトは唇がマウスピースをグリップする(掴む)際に必要な部分で、鋭いリムバイトほど強くグリップできるので振動が伝わりやすく、丸いリムバイトはややグリップが弱くなるため振動が伝わりにくくなります。

リムバイトによる違い

丸いリムバイト:コントロールがしやすく、唇に当てた時の触感が柔らかく、口当たりが良いと感じる。ただし音の立ち上がりがフワッとする傾向があり、音程が不安定になりやすい。


鋭いリムバイト:ややコントロールがしにくいが、パリッとした歯切れの良いアタックと、安定した音程で演奏できる。ただし鋭すぎると柔軟性が損なわれバテやすくなり、人によっては痛みや不快感を覚える。

②カップ

カップはリムから繋がるボウル状の部分で、「深さ」「カップの形状」がマウスピースによって変わります。

深さと形状、それぞれがカップの容量に直結するので、音色と吹奏感に大きな違いを感じることができます。

カップの深さ

マウスピースのスペック表やメーカーホームページだとA~Eのアルファベットや、S、M、Lなどで表現されることが多く、深さの違いが音域や音色を変化させます。

カップの深さによる違い

浅いカップ:明るい音色で、高音域の演奏に長ける。ジャズプレイヤーに好んで使われる。抵抗感が強い。


深いカップ:暗めの音色で、低音域の演奏に長ける。オーケストラプレイヤーに好んで使われる。抵抗感が少ない。

カップの形状

カップの形状は二つあり、「Uカップ」「Vカップ」です。さらに二つの特性を合わせ持つ「ダブルカップ(UVカップ)」と呼ばれるタイプもあります。

カップの形状による違い

Uカップ:明るい音色で、高音域の演奏に長ける。


Vカップ:暗めの音色で、低音域の演奏に長ける。


ダブルカップ(UVカップ):高音域を手前側のUカップ部分で受け持ち、低音域を奥側のVカップ部分で受け持つため、UカップとVカップの中間くらいの音域と音色。

カップ形状は音楽ジャンルによってあまり変化することなく、個人の好みによるところが大きいようです。

ショルダー

ショルダーはカップまで入ってきた息を、スロートやバックボアへ流す直前の部分となり、ここの形状の違いで音のスピード感が大きく変わります。

ショルダーは「鋭い」「丸い」かで分別されます。

ショルダーによる違い

鋭いショルダー:抵抗感があり、明るめな音色になる。突き抜けるような音になる。


丸いショルダー:抵抗感が少なく、暗い音色になる。広がるような音になる。

スロート

スロートはマウスピースの中で最も細いため、吹き込まれた息に圧力がかかります。水が出るホースの先端を摘まむと水が勢いよく飛んでいくのと原理は同じ場所です。

マウスピースの中でも特に抵抗感を司る部分です。

スロートの改造はマウスピースの改造でもポピュラーで、スロートを広げて吹奏感や音色に変化を付けようとする人が多いです。

スロートによる違い

細いスロート:抵抗感が強く、音量は小さめで明るい音色になる。音にスピード感があり、高音域に長ける。


太いスロート:抵抗感が少なく、音量は大き目で暗い音色になる。広がるような音になり、低音域に長ける。

③バックボア

バックボアはスロートから下の楽器へ息が抜けていく部分にあたります。

ここは単なる筒状ではなく非常に複雑な形をしていて、音程のバランスや音域の演奏に大きな影響を与えます。マウスピースにおいては音程のバランスを取ったり、音色を決定づける部分となります。

バックボアによる違い

細いバックボア:音程が高くなりやすく、明るい音色になる。音にスピード感があり、高音域に長ける。


太いバックボア:音程が低くなりやすく、暗い音色になる。広がるような音になり、低音域に長ける。

自分に合ったマウスピースの選び方

マウスピースはトランペットの音色や吹奏感を決定づけるものなので、しっかり吟味する必要があります。

マウスピース選びの基準は主に以下となります。

  1. リムが自分の口に合うか(=サイズが合っているか、口当たりが良いか) ※重要
  2. 自分がどんなジャンルの音楽を演奏するか
  3. どんな音色が好みか

一番大事なのは、1番のリムが口に合うかです。

マウスピースはトランペットを演奏する時に必ず口に触れる部分ですから、例えば細いリムで口が痛いなど不快感があれば、そのようなリムのマウスピースは避けるべきです。

リムと口の相性が良くないと楽器を練習するのも嫌になりますし、口に合わないリムは上達の妨げにもなりますので、必ずリムは口に当てて選びましょう。

選び方のコツは、マウスピースを口に当てた後にモゴモゴと口を動かしてみて、収まりが良いと感じるかどうかです。

次に2番のどんなジャンルを演奏するかについてです。

例えば吹奏楽を演奏する人が極端に浅くて小さいマウスピース(=一般的にジャズ向き)を選んでしまうのは、明らかに演奏するジャンルとズレてしまいます。

自分がどんなジャンルで音楽を楽しむか決まっていれば、そのジャンルに適したマウスピースを選ぶ必要があります。

3番のどんな音色が好みなのか、というところも2番の演奏するジャンルに関わってきます。

例えばあなたがビッグバンドやフュージョンのような明るい音色が好きだとして、大口径で深いVカップのマウスピースを選んでしまったらあなたの好みから完全に外れてしまいますよね。

なのであなたに音色の好みがあれば、その好みの音色を演奏できるマウスピースを選ぶべきです。

初心者のマウスピースの選び方(ジャズ編)

例として、これからジャズを始める方向けのマウスピースの選び方を考えてみましょう。

これからジャズトランペットを始める人のマウスピースの選び方
  1. フラットリムの感触が好きなので、フラットリムのものを選ぶ
  2. リム内径は小さめのもの
  3. 歯切れのよい音で吹きたいので、リムバイトは鋭いものを選ぶ
  4. カップは浅めのものを選ぶ
  5. スロートは細いものを選ぶ
  6. ギラッとした音が良いので、鋭いショルダーのものを選ぶ
  7. バックボアは細いものを選ぶ

初心者のマウスピースの選び方(吹奏楽編)

次にこれから吹奏楽部でトランペットを始める方向けのマウスピースの選び方を考えてみましょう。

これから吹奏楽部でトランペットを始める人のマウスピースの選び方
  1. ラウンドリムの感触が好きなので、ラウンドリムのものを選ぶ
  2. リム内径は中間~大口径のもの
  3. リムバイトは中間くらいのものを選ぶ
  4. カップは深いものが良かったので、深いカップを選ぶ
  5. スロートは中間のものを選ぶ
  6. 歯切れよく吹きたいので、鋭いショルダーのものを選ぶ
  7. バックボアは中間のものを選ぶ

 

上記の選び方は一例ですが、ジャズ向きであっても吹奏楽向きであっても、このように自分の目指すべき音色や吹奏感に当てはめていくと、だいぶマウスピースを絞り込めますね。また傾向から外れていたとしても、その人に合っていれば全く問題ないので吹いた感触や音をよく聞きながら、最良のマウスピースを探しましょう。

まとめ

今回はマウスピースの各部分の解説と、マウスピースの選び方について解説しました。

マウスピースは非常に奥が深く、トッププレイヤーですら100パーセント自分に合うものを見つけることが大変難しいと言われています。

トランペットの神様と言われた故モーリス・アンドレですら、晩年になってようやく自分の理想のマウスピースと出会ったというほどです。

皆さんがこの記事を参考に、自分の運命の一本と出会えることを願っています。

今回はここまで、それではまた!

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