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【バック奇数モデル】人気モデルの違いをリムやカップから検証する

【図解】マウスピース大解剖、自分に合ったマウスピースの選び方とは?

悩んでいる人

バックのマウスピースってどうなの?奇数番号のモデルが人気って本当?それぞれの違いを知りたい。自分に合うバックのマウスピースを見つけたい。

 

こんな方にオススメの記事です。

 

はじめに

こんにちは、Hikaruです。

バックのマウスピースはトランペットにおいてはグローバルスタンダードと呼べるほどに浸透しており、バックマウスピースを吹いたことがないトランぺッターはこの世にいないのではないか、というレベルで有名です。

私自身もトランペットを始めて一番最初に手に取ったマウスピースはバックの7Cで、その後も色んなメーカーを経由する中でバックを再び手に取った機会が何度もありました。

バックマウスピースには学生からプロを含め人気のモデルがいくつか存在します。そして理由は分かりませんが奇数番号のモデルに人気が集中しているようです。1,3,5,7……と言った具合ですね。

今回は私がこれまで実際にバックの奇数番号モデルを吹いてきた感覚と、マウスピースの形状やスペックという点から、人気の奇数番号モデルたちを検証してみたいと思います。

※私の感覚とよく耳にする声から「人気のモデル」としていますので、あくまで個人的な意見だということをご承知おきください。

今回検証するモデル

人気の奇数番号モデル
  1. 1C
  2. 1B
  3. 1-1/4C
  4. 1-1/2C
  5. 3C
  6. 5C
  7. 7C
  8. 9C

カンスタルマウスピースコンパレーターを基準に比較をします。

①1C

・リム・カップ形状

バックのマウスピースでは「1」のモデルに次いで最大級の大きさのリム内径を持つマウスピースで、オーケストラで大音量を求めるプレイヤーが主に使用しているイメージです。

一般的な「C」カップのモデルと同様の深さで、バックボアもスタンダードの「10」番のものなので、内径とリムの形状さえ合ってしまえば比較的移行が容易なマウスピースです。

リム形状はフラットからセミフラットで、コントロール性はまずまず。リムバイトが比較的鋭いので大きいマウスピースではありますが歯切れの良いタンギングや発音の良さを持っています。リムバイトが鋭いものは、人によっては実際の大きさよりもややコンパクトに感じるかもしれません。

リムの頂点がリムの内側の方にあるので、唇でマウスピースをグリップして演奏するタイプの人に演奏しやすい形状をしています。

音色はスタンダードで暗すぎず明るすぎず、内径の大きさから起因する太く厚い音色を持つため、オーケストラはもちろん吹奏楽でもその存在感を示せるマウスピースの一つです。とは言えやはり最大級の大きさを持つマウスピースなので、ある程度しっかりとブレスが取れることや骨格との相性を考慮して使用するのがベターです。

今回紹介するマウスピースの中では9Cが最も近い形状のリムなので、1Cのリム形状は好みだけど内径が大きすぎるという方は9Cを試してみる価値があるかもしれません。

②1B

・リム・カップ形状

1C同様、バックのマウスピースでは「1」のモデルに次ぐ最大級の大きさのリム内径を持つマウスピースで、オーケストラで大音量を求めるプレイヤーが使用しています。特に1Cよりもオーケストラ人口が高いのではないでしょうか。

というのも、1Bに使用されているバックボアは「7」番のシュミットと呼ばれ、スタンダードに比べて太くストレートに広がっていく形状をしているのが特徴です。そのため息が太く抜けていき、音色がかなりダークなものになります。その形状からロータリートランペットとの相性が良いとされています。

シカゴ交響楽団の首席トランペット奏者だった故アドルフ・ハーセス氏は若い頃は7番台のモデルを使っていましたが、唇を怪我したため傷口に触らないよう、以降は1Bを愛用しています。ハーセスモデルと呼ばれる通常のモデルよりもスロートが拡張されたマウスピースも存在します。

1Cに比べるとリム形状が丸く、やや薄いのが分かるかと思います。またカップからショルダー、スロートまでなだらかなカーブを描いて落ちているのが見受けられます。このため1Cに比べて抵抗感が少なく、息がスルスルと入っていくタイプのマウスピースであることが分かります。

リム形状が丸いため唇の自由度は確保されており、オーケストラ向けモデルながら細やかなフレーズにも対応しやすいマウスピースと言えます。ただしリムバイトがやや丸いため、歯切れの良さでは1Cに軍配が上がる印象です。

音色は1Cと比べて落ち着いたダークなもので、ドカンと息が抜けていくような感覚は吹いていて気持ちが良いです。その分演奏を助けてくれる抵抗感は少なくなりますので、しっかりブレスでバランスを取れるようにするとベストです。

③1-1/4C

・リム・カップ形状

1Cに次ぐ大きさのマウスピースで、こちらも人気のモデルの一つです。何を隠そうバックの創始者であるヴィンセント・バック氏本人が使用していたモデルでもあります。

リムの丸さは丁度1Cと1Bの中間くらいにあたり、1Cに比べるとリム頂点にやや丸みがありますが、1Bよりはしっかりした厚みを持ちます。コントロール性と唇へのフィット感をバランスよく兼ね備えています。

リムバイトは1Bとほぼ同様の丸めの形状を持つため、ややタンギングの歯切れや発音の良さの点で分が悪いように見えるかもしれませんが、内径がそもそも1Cよりやや小さいため、気にならない程度です。

音色は1Cに比べるとやや明るく、1Bが太く厚くホール全体へ広がるようなものだとすると、1-1/4Cは音の塊がホールの奥まで飛んでいくようなイメージです。

④1-1/2C

・リム・カップ形状

みんな大好き1ハーフと言えばこのマウスピース。日本ではアマチュアから音大生、プロまで幅広く使用されている非常に人気のあるマウスピースの一つです。

1-1/4Cとほぼ同様のリム形状をしていますが、1-1/2Cの方がややリムバイトが鋭いことと内径が僅かに小さいことから歯切れの良さと発音の立ち上がりの良さを獲得しています。

このためソロであってもミストーンをする心配が少ないこと、コンパクトなタンギングのため音の輪郭がはっきりするため、自分のイメージしている音と聴衆の聴いている音のギャップが少ないのが、このモデルの人気の一つでもあるかと考えられます。

また1Cや1-1/4Cに比べカップが浅くいため音に張りがあり、キャッチーな音色という印象があります。カップ容量も少ないことから大容量のブレスがそこまで必要なく、肉体的な負荷が大分軽減されていることも人気を支えている一つの要因です。

このようなトータルバランスの良さから、これほどまでに親しまれているのでしょう。

⑤3C

・リム・カップ形状

ヤマハの14番と並ぶ中間よりもやや大きいサイズのマウスピースで、こちらも人気のあるモデルです。中高生に使用している方が多い印象があります。

リムは1Cによく似ているフラットからセミフラット寄りの形状をしており、大きな違いとしてはリムバイトからカップへなだらかなカーブを描いて落ちていっている部分です。そのためかなりカップが浅いです。

リムバイトもかなり丸いので、アーティキュレーションの立ち上がりやコントロールの難しさ、音程が不安定になりやすい欠点を持ちますが、1Cと同様にリムのハイポイントが内側にあるので、唇でリムをグリップするタイプのプレイヤーにとってはよく合うマウスピースです。

上記理由からリム内径の割に太さや厚みからは遠ざかった音色を持つモデルで、どちらかと言えば平面的で明るい素直な音がします。個人的にマイク乗りが良いマウスピースだと思うので、レコーディングで重宝するかもしれません。

⑥5C

・リム・カップ形状

こちらも3Cに並んで中高生に多く使っている方が多い印象のモデルで、近年では7Cと同様に標準的なモデルになりつつあるのではないでしょうか。

1-1/2Cをそのまま小さくしたようなよく似たセミフラットなリム形状を持ち、唇にフィットしやすいため万人受けするマウスピースの一つです。リムバイトがやや丸いのでコントロールがしやすく、音の立ち上がりも鋭すぎないことが、学生からの支持が多い理由かもしれません。

リムからカップ、スロートへのカーブも急すぎず緩すぎずと言った具合で、明るすぎず暗すぎないバランスの取れたトランペットらしい音色持ちます。

様々な点を総合すると「唇へのフィット感が良く、音色のバランスが取れたやや柔らかめの発音がするマウスピース」といったところでしょうか。

⑦7C

世界中で使用されているモデルの一つで、日本では初心者向けモデルとしても有名です。(個人的にはやや否定的です、詳細は下記にて)

・リム・カップ形状

リム形状は今回紹介する中では1Bが最も近く、丸く薄いリムです。このため唇の自由後はかなりありますが、自由過ぎてコントロールを失ってしまう可能性があるので、初心者よりはある程度上達してきたプレイヤーに向く印象があります。

リムバイトは1Bよりも鋭いため、パチパチとはまるようなタンギングと音の立ち上がりの良さを備えたマウスピースです。また比較的深めのカップを持つため、この内径サイズの割には豊かな音量です。

7Cが合う方で、より大音量を求めるのであれば1Bへスイッチングするのもありなのではないかと、形状を比較しながら今回改めて感じました。

関連記事

7Cに関する詳細な記事です、7Cが本当に初心者向けなのかついて考察をしています。

⑧9C

今回のラインナップの中ではあまり目立たず、1,3,5,7番の陰に隠れたモデルですが、9Cも非常に優秀なモデルです。

・リム・カップ形状

1Cの項目でもご紹介したように、今回紹介するマウスピースの中でも特に1Cとよく似たリム形状を持ち、1Cをそのまま小さくしたようなモデルです。この点では今回紹介してきた他のモデルとは一線を画します。

フラットなリムのため口当たりが良く、1Cよりも内径が小さいことからコントロール性は9Cの方が勝ります。また微妙な違いとして、リムバイトが1Cよりも鋭いことが挙げられ、コンパクトでパリッとした印象的なタンギングで演奏することが可能です。

9Cが合う方で大音量を求めるのであれば、1Cにスイッチングするのも選択肢の一つです。逆に1Cと似たリム形状でより内径が小さくコンパクトに吹きたいのであれば、9Cはリム形状がそっくりなことから候補となり得るでしょう。

まとめ

今回はバックの人気の奇数番号のモデルを抜粋し、それぞれの特徴について検証してみました。

見た目は全く同じマウスピースですが、様々な部位を細かく見てみると色々な違いがあって、その違いを検証することでマウスピースの性格や音色を推測することが可能です。

全部で8つのマウスピースを今回は見ていきましたが、吹きやすいとか、音色が良いとか、万人受けするとか、楽器も食べ物やその他の物と同じように、人気のものには人気たる所以があることがよく分かります。

もちろん人気でないものが悪いというわけでは決してなく、あくまでその商品を良いという人口が多いのでそのように感じてしまうということもあります。

今回の検証を参考に、自分にとって良いと呼べるマウスピースに皆さんが出会えることを願っています。

今回はここまで、それではまた!

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