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【クラーク】テクニカルスタディーズでワンランク上の練習へ

悩んでいる人

お手軽にスケールパターンをたくさん練習したい。指が上手く回らない、良い練習曲はないかな?クラークのテクニカルスタディってどんな教則本?

 

こんな方にオススメの記事です。

 

はじめに

こんにちは、Hikaruです。

これまでトランペットや吹奏楽のレッスンをしてきましたが、その中でよくこのような悩みを聞くことが多くありました。

曲で指が回らなかったり、速いフレーズだと指がこけちゃってテンポ通りに演奏できません。

これはフィンガリングの練習不足スケールに慣れていないことが原因になっていることが多く、実際に中学生や高校生だとスケールを全調吹ける方は稀だったりします。

フィンガリングについてはできないことがはっきり分かっているので、繰り返し練習すればある程度の改善が見込めることは多くの方が理解できているように感じます。

ですがスケールは専用の練習や、音程の理解が必要になること。そもそもスケールの存在を知らなかったという生徒もままいらっしゃいます。

またスケールやフィンガリングのような練習は木管楽器が行うイメージが強いのか、特に金管楽器の方に苦手な方が多い印象があります。これでは少し指の動きが多い曲や、苦手な調(特にシャープやフラットが多い曲)が出てきてしまっただけで、すぐに対応ができなくなってしまいます。

今回はそんなフィンガリングとスケールの悩みを解決するだけに留まらない素晴らしい教則本の一つ、クラークのテクニカルスタディーズの使い方を紹介します。

クラークのテクニカルスタディーズの概要

クラークのテクニカルスタディーズはトランペットの教則本の中でもアーバンと並んで最重要なものの一つです。

表紙に「For the Cornet」と書いてあるように、元々はコルネットのために書かれた教則本ですが、現在ではトランペットにもそのまま応用されています。

どんな教則本か見たことがないけれど、下にあるような練習曲の一部は聞いたことがあるという方、多いのではないでしょうか。

テクニカルスタディーズより、練習曲2

著者のクラーク氏は1867年に生まれ1945年に没した、この時代では最も著名なコルネット奏者の一人で、テクニカルスタディーズを含めた四つの教本やいくつかの楽曲を遺しています。

テクニカルスタディーズは特に有名な教則本で、現在も世界中のトランペット奏者に使われている教則本の一つです。

テクニカルスタディーズは全部で10項目に分かれており、それぞれの練習曲とまとめのエチュードが載っています。アーバンとの大きな違いは、一つの練習曲に対して全部の調のパターンが載っていることです。

つまり、一つの短いフレーズを全部の調で練習することができるという教則本になっています。このためあらゆる調・スケールの理解や、それぞれの調でフィンガリングの練習を進めることができます。

MEMO
以下ではテクニカルスタディーズの本質という点について解説していきます。これを理解しておくと、何倍も効率よくテクニカルスタディーズを練習し、上達へつなげることができます。

小噺・テクニカルスタディーズの本質

本教則本の序文に、このような文章が書いてあります。※原文英語のため、多少意訳が入ります。

テクニカルスタディーズ序文より抜粋

「この教則本は、コルネットまたはトランペットを演奏する生徒が、音楽を演奏する上で発生してしまうかもしれない障害をどのように克服していくかという点について書いています」

 

「本書に含まれているエクササイズを指導に従って続けることで、生徒は(唇の)痛みや怪我をすることなく持久力を身につけることができます」

 

「音を生み出すのは強引な力ではなく、ほんの僅かな圧力さえあれば問題ないということを念頭においてほしい」

 

「(各練習曲の前に載っている)指示を読んだ上で練習すれば、最低音から最高音までを同じ音質で演奏することができるようになるだろう」

さて、この序文を読んでどのように感じたでしょうか。冒頭で紹介したようなフィンガリングやスケールの理解という点とは少し違っているような感じがしませんか?

簡単に言うとクラーク氏が伝えたかったことは、最小限のパワーで最大限のリターンを得るために、この教則本を使ってもらいたいということです。

実際に各練習曲の前に載っている指示を見てみると、「新鮮な唇の状態を保つ」「ブレスコントロール」「音を無理矢理に生み出さない」といった、「楽に演奏できることを目指す」ような内容が多く見受けられます。

楽譜の見た目からはフィンガリングやスケール練習を主な目的とした教則本に見えてしまいますが、実際にはメカニカルな楽譜を常に楽な状態を目指して練習することで、演奏技術を底上げしていくことが本来の本書の目的になります。フィンガリングやスケールはその副産物に過ぎないということですね。

①フィンガリング

前章で書いたテクニカルスタディーズの本質を踏まえて、フィンガリング練習の説明に移ります。

フィンガリングはそのまま運指練習で、曲の中でリズムが細かかったりテンポが速いフレーズが出てきた時であっても対応できるようにするために行う練習です。

テクニカルスタディーズに書かれたリズムは半音階や全音階、分散和音などで、それらが全調載っている非常にメカニカルなものとなっています。

基本的にはゆっくりなテンポから練習し、一つのフレーズを一つのブレスで演奏できるようにしていきます。慣れてきたら少しずつテンポを速くしていきましょう。

このように練習することで楽な呼吸を保ったままフィンガリングを体で覚えることができるので、難しい運指が続くような曲であっても、慌てることなく対応することが可能になります。

トランペットは特に薬指を使った運指(2,3番や1,3番)が難しいため、EdurやHdurのものを重点的に練習するとフィンガリング技術を平均化することができるのではないでしょうか。

②スケールの理解

特に中高生の吹奏楽部の方はスケールについて勉強していない方が多いように経験上見受けられます。そこにはスケールがなぜ大事なのか分からない、スケールを理解することの意味を知らないことに原因があるように思います。

なぜスケールが大事なのかは、主に以下理由があります。

スケールを練習しなければいけないワケ

楽譜の左側にシャープやフラットが書いてあるのを見たことがあるかと思います。これを調号と言います。調号の数が異なることで、基準となる音が変わります。

 

例えばハ長調(Cdur)は調号なしで、基準音がド。ヘ長調(Fmoll)はフラットが1つで、基準音がファになります。これが調の違いです。

 

スケールはこの調の中に存在する音を並べたものです。つまり「ドレミファソラシド」がハ長調のスケールで、「ファソラシ♭ドレミファ」がヘ長調のスケールです。調が変わればスケールも変化するということです。

 

また調が変わると、音楽の色や空気感が変わります。例えばハ長調は明るく、ハ短調は暗く聞こえるように、調は音楽の色や姿を決めています。

 

そのため様々な調のスケールを練習しておくと、いきなりフラットが6つの曲を演奏しなければならない場面であっても、すぐにそのスケールを理解して演奏することができるようになります。また音楽の調性を感じ取ることで、どのような色をその音楽が持っているのかを瞬時に理解し、音にすることで音楽に説得力を持たせられるようになります。

テクニカルスタディーズは基本的に全ての練習曲に全部の長調のパターンが記載されています。短調は残念ながら記載がありませんが、調を勉強しておけばすぐにリズムに当てはめて短調も練習することができます。

なので上記のスケールを練習しなければいけないワケを理解しつつ、テクニカルスタディーズを練習してもらえれば、楽な状態を保ちながら様々な調性を感じ取って音楽的に演奏するための手助けになることが分かるはずです。

③応用編

テクニカルスタディーズは楽譜を見てもらうと分かりますが、大半の練習曲がスラーで書かれています。基本的なコンセプトとして楽に吹けるようになること=ブレスフローを大事にすることがありますので、スラーをベースに練習することは大変理に適っています。

このスラーで書かれたリズムを使って、一つの練習曲で演奏を楽にするだけでなく、別の技術を伸ばすことにも応用ができます。

私がよく練習しているのは、タンギングアーティキュレーションです。

練習方法としては、一つの練習曲を二回繰り返します。一回目はスラーで息の流れや楽な状態になっているかを確認し、二回目はスラーを取ってタンギングで演奏します。

この時にアーティキュレーションをスタッカートにしたり、テヌートにしたり、頭の音にアクセントを付けるなど多くのパターンで練習することができます。

またダブル・トリプルタンギングの練習にも使えるので、テクニカルスタディーズは非常に応用力の高い教則本だと言えます。

まとめ

今回はクラークのテクニカルスタディーズについて解説をさせて頂きました。

私自身はこの教則本を中学時代から活用しており、今でもウォーミングアップやフィンガリングが甘くなってきた時に自分を戒めるため、そしてスケール練習の一つとして使っています。

教則本としてはページ数が少なく、50ページ程度なので持ち運びもしやすいので、メインをアーバンにしてサブでテクニカルスタディーズというように使い分けをすることで基礎を幅広く練習するような活用もできますね。

ぜひ今までテクニカルスタディーズを活用していなかった方にとって始めるキッカケになれば、また既に使っている方にとっても理解を深められる良い機会になれば嬉しいです。

ちなみにテクニカルスタディーズ、基本はトランペットとコルネットのための教則本なんですが、実は金管低音楽器向けにヘ音記号で書き直されたバージョンも存在するので、トロンボーンやユーフォニアム、チューバの方もぜひ選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか?

今回はここまで、それではまた!

トランペット・コルネット版(ト音)

トロンボーン・ユーフォニアム・チューバ版版(ヘ音)

 

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