音楽は一生の友、いつまでも音楽と過ごすことを目指す副業トランぺッターのブログ。

【効果抜群】フランス式グループレッスンの紹介

悩んでいる人

レッスンをする時にグループレッスンをしているけれども、効果が実感できない。グループレッスンでどのようなことを心掛けたら良いんだろう?もっとレッスンが上手くなりたい!

 

こんな方にオススメの記事です。

 

はじめに

こんにちは、Hikaruです。

皆さんはグループレッスンを受けたことはあるでしょうか?

吹奏楽部の方などはたまに楽器ごとの講師が学校に来て、各楽器・パートごとにレッスンを受けるなど経験があるかと思いますが、あれもグループレッスンの一つです。

日本でよく見られるグループレッスンの形態は、講師が前にいて受講者・生徒が演奏をして講師に聴いてもらい、アドバイスをもらうというようなものが一般的でしょうか。

しかしそれではマンツーマンでレッスンを受けるのとあまり変わりがありません。強いて言えば、別の人へのアドバイスを自分へのアドバイスとして受け止めることができるくらいでしょうか。

これではグループレッスンの魅力や効果を最大限に引き出せているとは言えません。

グループレッスンは、複数人数で同じ時間を共有しているという場面だからこそ、様々な可能性を持っている形式のレッスンです。

今回は私が実際に体験してきたフランス式グループレッスンとその意義や効果について解説していきます。

フランス式グループレッスンとは

フランス式グループレッスンで一番大事なのは、その場にいる全員が先生になることです。

フランス式グループレッスンの基本的な構成員は日本で一般的に行われているものと大差ありません。一人ないし数人の講師と、複数人の生徒が存在します。

レッスン中の生徒にはそれぞれ二つの役割が与えられます。

生徒の役割
  1. 演奏をする人(一人)
  2. 演奏を聞く人(その他全員)

このように演奏をする人と聞く人に分かれます。

普通であれば講師だけが生徒の演奏を聞く側になりますが、必ずしもそうはなりません。講師も生徒たちに交じって一人の演奏を聞きます。


レッスンが始まると、まず演奏をする側になった人が全員の前で何かしらの楽曲や練習曲などを披露します。

演奏が終わった後、まず演奏した人が今のテイクに対して自分で考察をし、全員の前で発表をします。

演奏する側の発表については特に決まり事はなく、そのまま今の演奏の反省でも良いですし、良かった点でも良し、演奏と少しずれた今の課題でも構いません。

その後聞く側だった全員が、一人ずつ演奏に対して考察をして発表をするのですが、聞く側には大変重要な役割と決まり事があります。

フランス式グループレッスンの決まり事
  • どこができていない、という指摘だけでは不十分。
  • 必ずその人のためになるアドバイスをする。
  • どうすればその人の今の課題をクリアできるかを提案する。

これだけ……?と思われる方が多いかもしれませんが、これだけなんです。

この決まり事はフランス式グループレッスンにおいて重要な役割を持っています。

フランス式グループレッスンの効果

私が体験してきたフランス式グループレッスンの効果について考察すると、大きく以下三つの効果があります。

フランス式グループレッスンの効果
  1. 講師の数が何倍にも増える。
  2. 他者へ寄り添う道徳心を育てる。
  3. 教育者を育てるためのレッスン。

①講師の数が何倍にも増える

上で述べたように、演奏した本人を含む全員が一回の演奏に対して考察をすることで様々な効果が期待できます。

全員が必ずアドバイスをするということは、演奏に対してアドバイスができる人間が、講師の数+生徒全員の数に増えるということでもあります。

レッスンに参加しているのが講師1人、生徒9人だったら、単純に講師が10倍になるという計算です。

アドバイスは必ずしもその人のためにならないとしても、あればあるだけ良いものです。アドバイスされた側はその中から自分に必要だと考えるものだけをピックアップすれば良いのです。

他にも複数人数からアドバイスを受けることで、今まで自分が考えもしなかった視点から自分の演奏を知る機会になります。

また今すぐには役に立たないアドバイスであっても、後々になって「気付き」となり、どこかで繋がる可能性がありますから、全てが無駄にならない大変エコなレッスンでもあります。

②他者へ寄り添う道徳心を育てる

このグループレッスンでは聞く側、つまりアドバイスをする側の人は、大変重要な役割と責任を持ちます。

なぜならば上で述べたように、演奏した人へ投げかけたアドバイスが演奏した人のこれからの成長に関わっていく可能性があるからです。

フランス式グループレッスンで一番やってはいけないことが、適当なアドバイスをしてしまうことです。特にアドバイスにもなっていない、ただの指摘で終わってしまうと印象が最悪です。

もしあなたが何のアドバイスもなく目の前にいる人に「〇〇ができていない」と言われたら、「だからどうした?」と思っちゃいますよね。

悪い言い方をすれば、欠点だけを指摘して改善点を示さない投げっ放しの人がそれだけ多いということです。これは音楽に限った話ではなく、世間一般にその傾向があります。

大事なのは演奏した人に敬意を払い、そしてその人のことを思いやり、ためになる提案を投げかけることです。

皆さんがこのグループレッスンに参加していたとして、親身なアドバイスをくれた人には同じくらいかそれ以上良いものをお返ししたいと思いますよね。ここにギブアンドテイクの関係が生まれます。

フランス式のグループレッスンは、演奏技術の向上だけでなく人に対する敬意や思いやりを育む、道徳的な精神の醸成にも深く関わっています。

私たち日本人はどうしても他人の粗探しをしてしまいがちです。そこから一歩踏み込んで人の成長を促せるようなアドバイスをすることで、自分自身を見つめる力も養うことができるのです。

③教育者を育てるためのレッスン

ここまでの内容でご理解頂けたかと思いますが、フランス式グループレッスンでは人へアドバイスをする機会が普段の何倍にも増えます。

しかもレッスンという場なので、なるべく相手の成長のためになるアドバイスを提案しなければなりませんから、いわば「レッスンのためのレッスン」の側面も持っています。

これは私自身が参加した際に、講師であり師匠の一人であるエリック・オービエ氏から言われたことですが、実際にフランス式のグループレッスンは教育者を育てるためのレッスンという目的も持っています。

フランスでは演奏者と音楽教育者がはっきりと住み分けがされていて、演奏の第一線で活躍する人が音楽大学の教授や講師を兼任するということが日本ほど多くないのだそうです。

そのため演奏者を育てるのと同時に教育者を育てるためのレッスンとして、フランス最高峰の音楽学校であるパリ国立高等音楽院でも導入されています。

私がフランス式グループレッスンを受けて一番効果を実感したのがこの教育者を育てるという部分でした。

このレッスンを受けるまであまり他人のレッスンをしたことがなかったのですが、他人が演奏しているのを聞いてどのようにすればもっと良い演奏ができるのかを自然と考えることができた自分にまず驚きましたし、

自分のアドバイスがその人の役に立つかもしれないという事実が、非常に嬉しいものでした。

この後から積極的にレッスン活動を行うようになり、実際に教えていたほとんどの吹奏楽部が夏のコンクールで金賞や上位大会への出場を実現するなど、ある程度の結果を出すことができました。

現在はサラリーマンをメインにしているので稀にしかレッスンはしていませんが、この時の体験が活きている実感があります。

フランス式グループレッスンを日常にする

今回紹介したフランス式グループレッスンは講師がいなくても、ファシリテーター(進行役)を用意するだけで行うことができます。

吹奏楽部のパート練習やセクション練習に取り入れるのも簡単で、特に上手く吹けない人にばかり攻撃が集中しているような問題を抱えている学校には有用なレッスンだと言えます。

ただし注意するべき点としてここまで何度も述べているように、指摘だけで終わらないように顧問や講師側が注意して観察することが重要です。

特に子供たちにとって誰かのために自分の意見を述べて提案するという体験は、今後生きていく上で必ず役に立ちます。

今でも長期的なレッスン計画を立てる際には、どこかのタイミングで必ずフランス式グループレッスンを取り入れています。

昨今の世間の流れとして、子供から大人まで他者への関心が薄れていっています。このレッスンはそのような風潮とは真逆のことを行うので、もしかしたら始めは発言ができない子や、指摘で終わってしまう子がいるかもしれません。

それでも何度か行ってみるとぽつぽつと発言が出てきて、普段は垣間見れないその子の考えに仲間である生徒や講師が触れることができたり、どうすれば課題を改善してあげることができるのかを本気で考えて提案できるようになってきます。

このような心の成長を見ることができるのが、私がレッスンをしていて一番嬉しい時だったりします。

誰かと演奏をされる方、そして教育者の方、このフランス式グループレッスンを取り入れてみることで、新しい発見があるかもしれません。

今回はここまで、それではまた!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Twitter
SHARE