悩んでいる人
こんな方にオススメの記事です。
この記事のもくじ
はじめに
こんにちは、Hikaruです。
突然ですが皆さん、努力は必ず報われると考えていますか?
楽器や音楽に置き換えれば、体力の限界までたくさんの時間をかけて練習を続ければ世界トップのプレイヤーになれる、というのが努力の報われ方でしょうか。
結論から延べてしまうと、努力は必ず報われるとは限りません。
これは多くの方がお話していることで、音楽の世界に限らずどの世界でも「究める」ことが必要なものごとにおいて必ず言われます。
私自身このことを身をもって体感しており、たくさん無駄な努力をしてきたと感じることがあります。もちろん遠回りによって得られたこともありますが、どうせなら近道したいと考えるのが人情というものです。
なぜ私たちは練習をするのか
楽器や声楽などを含む音楽をやっている方たちと練習は切っても切れない関係にあります。立場や場所、楽器に関係なく練習は必ず付きまとってくる永遠の命題でもあります。
ではなぜ、私たちは練習をするのでしょうか?
恐らく大半の方の練習をする理由は以下のようなものだと思います。
音楽をやっている以上、より上達したいと考えるのはごくありふれたことです。下手になりたいと思って練習する人はまずいません。
しかし「楽器が上手くなりたい」という気持ちだけで練習を続けていると、段々と練習の方向性がぶれてくることがあります。これは「上達した後の自分が何をしたいか」が見えていないため、着地点を見失ってしまうことに起因します。
そうならないために必要なことは、練習の目的を具体化することです。
練習の目的を具体化する
このブログを読まれている方は金管楽器を演奏されている方が多いかと思いますので、金管楽器を例にして書いていきます。
金管楽器奏者が行う基礎練習の内容として、主に以下が挙げられます。
- ロングトーン
- タンギング
- リップスラー
この三つの基礎練習はもはや三種の神器とも言えるくらい「とにかくたくさん練習しなさい」と、多くの方が指導者や先輩から言われ続けてきたことだと思います。
もちろん、私もこれらの練習は絶えず行ってきました。お陰である程度の演奏技術を身に着けることができました。
しかしある時期までは技術が伸び悩みが続き、練習によってただひたすらに時間と体力を浪費する日々が続く時期がありました。
そこで私が行ったことは、その練習の意味を深く考えることです。
例えばロングトーン、皆さん大好き(?)な練習の一つだと思います。音出しが済んだらまずロングトーンをしろと口を酸っぱくされた方も多いのではないでしょうか。
このように書くと自分にブーメランが思いっきり刺さりますが、何も考えずにただロングトーンを練習していた方、結構多いのではないかと思います。
昔の私の場合、練習の始めにただルーティンとして行ってしまった結果、「音伸ばし練習」になっていたのです。
ここで重要なのは、練習の目的を具体化することです。
ロングトーンは言葉の通り音を持続させることで様々な効果を期待する練習ですが、その用途は無数に存在します。
- 良い音を持続させる練習
- 音程がまっすぐになるための練習
- 音階の上下を楽な息で行うための練習
- 2オクターブの跳躍を綺麗に行うための練習
- 息の流れを確かめる練習
- 今仕上げている曲に合った音色を引き出す練習
ぱっと思い付いた物を列挙するだけで、これだけの練習目的が上がります。次にそれぞれの目的を実現するためにどのようにするべきか、どのようなマインドで臨むべきかを書いていきます。
- 良い音を持続させる練習→頭の中に最高の音をイメージし、出だしの音が最高であるように発音する。
- 音程がまっすぐになるための練習→チューナーを用いたり、基準になるものを用意して、出ている音の音程を確かめる。
- 音階の上下を楽な息で行うための練習→1オクターブを上から下へ、一本の息で楽に演奏できているかを確かめる。
- 1オクターブの跳躍を綺麗に行うための練習→LowB♭からTuningB♭への跳躍を、間にFの音が入らないように行えているかを確かめる。
- 息の流れを確かめる練習→唇が息の流れに合わせて楽に振動しているかを感じながら練習する。
- 今仕上げている曲に合った音色を引き出す練習→楽曲の出だしの音を、その楽曲の空気や雰囲気をイメージしながらロングトーンする。
さてどうでしょうか、ここまで書くと練習目的が具体化されていますね。
最後に何も目的を持たずに練習した時と、目的を持って練習をした時を比較してみましょう。
- 目的なしの場合:メトロノームに合わせて長い音を出す。
- 目的ありの場合:自分の目指す音楽や取得したい技術へ向けて、目的に合わせて音を出す。
果たしてどちらの方が自分の上達につながる練習でしょうか?言うまでもなく、目的がある方が良いに決まってますよね。
やっていることは同じロングトーンなのに、目的を持って練習するだけで様々な効果を期待することができます。
以前の私はこの目的を持つということに対して甘く、意味のない練習を繰り返す時期がありました。つまり無駄な努力を行っていたのです。
時間や体力は有限です。できる限り効率よく練習を行って上達するため、どのような目的を持って練習するかを決めてから臨むと、その日はきっと良い練習になると思います。
練習の目的の根源を考える
先の章ではロングトーンを例に練習を具体化するというお話をしました。
ここからはなぜ私たちは練習という行為をするのか、という部分について深掘りしていきます。
ここで問い掛けになりますが、皆さんはなぜそれぞれの楽器を練習して上達することを目指しているのでしょうか?
上達するのは大変です。時間はかかりますし、必ず上達できるという保証もない。でも皆さんは練習を続けている。なぜでしょうか?
私はよくレッスン先の学校で、このように聞きます。
「皆さんはなぜ楽器をやっているんですか?」
意外と答えられる学生さんは少ないです。それだけ楽器を練習する目的を見失っている方が多いのだと思います。
少なくとも私は、音楽で自己表現をするためにトランペットという楽器を手に取り、今なお続けています。このような話を生徒さんにすると、たまにはっとしたような顔をする方がいらっしゃいます。
人は目的を持たずに、または目的を忘れて何かを続けていると意味もなく習慣化してしまうことがあります。彼らの場合は、吹奏楽部にただ出席してとりあえず練習するということが習慣化してしまったのでしょう。
ですが人は変わることができる生き物でもありますから、このような学校であっても考え方一つ変えるだけで素晴らしい音楽を生み出すことが必ずできます。
そもそも楽器や声楽は、音楽というものを表現するための一要素、悪い言い方をすれば道具でしかありません。
ですが見失ってはいけません。私たちが本当にやりたいことは音楽を通して自己表現をすること、芸術性を磨き上げて内から発散することです。
楽器から音を出すだけであれば、ロングトーンやタンギング、リップスラーのような基礎練習を繰り返せば、金管楽器であればある程度できるようになるでしょうが、結局は無味乾燥な音の羅列で終わってしまいます。
私たちが本当にするべきことは、前の章で書いたようなロングトーンのためのロングトーン練習ではなく、自分の音楽や芸術を思い通りに表現するために練習をすることが、何よりも大事なのではないでしょうか。
そのために必要な練習を考えられるだけの頭脳を私たちは既に持っています。
音楽を上達させるために何をするべきか、今回の記事がそれを考える良い機会になれば嬉しく思います。
今回はここまで、それではまた!