悩んでいる人
こんな方にオススメの記事です。
この記事のもくじ
はじめに
こんにちは、Hikaruです。
今回は調子が悪い時の思考回路というテーマで記事を書いていきます。
先日私はこのようなツイートをしました。
②
・全力で吸おうとした結果何か気付いたか⇒お腹を膨らませようとしていることに気付いた。
・なぜお腹を膨らませたか⇒吸っている感を出したかった。▲改善点:吸っている感は不要、楽な状態で吸える分だけ吸う。
▲結果:息が少しずつ勝手に出ていくようになった。— Hikaru (@Hikaru_tpiano) August 17, 2020
要するにトランペットの調子が悪くて、演奏に不都合が出ていたわけです。
管楽器奏者の方は、大なり小なり調子が悪い時期というのを必ず経験していると思います。
調子が悪いのには必ず理由があって、一つずつ分析していくと上のような禅問答チックな内容が見えてきます。今回の私のケースだと「息(ブレス)」に何かしらの原因があったというわけです。
調子が悪い時の思考回路
仕事から帰ってきた私は夕食を終えて、今日は比較的体力も余っているので練習でもしようかとウォームアップとしてチコヴィッツのフロースタディーの初歩の初歩をやろうとしたのですが、最初のFを吹いた瞬間戦きました。
「音が出ない……」
まあ本日一度目の発音なのでまだ唇が解れていないのでしょう、今日はデスクワーク多めだったので体も固まっているのでしょう。そんな風に多めに見つつ、次のパッセージのEの音を吹いてみると。
「また出ない……」
段々と焦りを感じます。なぜかというと来週の土曜には自分が教えている学校でレッスンがあるので、ある程度アップをしておかないといけません。
平常時であればそれなりに吹けるのですが、この日は特に吹けず、上記の理由もありかなり焦りました。しかも仕事で脳が疲れた状態では正常な判断もできず、とにかく音を出そうとするのですが余計に出ません。
人間一度ドツボにはまるとなかなか抜け出せないもので、その日の私はかなり焦っていました。
皆さんも調子が悪い時に、音が出ないからと言って無理矢理に吹いてしまったり、普段やらないことを試してみて余計に調子を崩したり、そんな経験があるかと思います。
まさに今回の私に当てはまります、一種の恐慌状態と言っても良いかもしれません。
こういう時に一番大事なのは、焦らずに状況を分析することです。
なぜ上手くいかないのかの理由を推測
しばらく経って頭が回るようになってきた私は、音が上手く出ない理由を分析することにしました。
まず今回の症状として挙げられるのは以下です。
- 発音開始したいタイミングから音が出ない
- 雑音が入る(ドッペル)
こんな感じです。
この十数年の経験からある程度のナレッジが頭の中や文章で溜まっているので、まずはそこから今回の症状から原因となっている可能性が高い事柄を引っ張り出してみることにしました。
- ブレス(吸う時)の問題
- ブレス(吐く時)の問題
- 唇に外傷がある
- 唇周辺の筋肉に疲労が溜まっている
- 体が疲労している
今回のケースを分析してみたところ、まず唇の外傷はなし、筋肉の疲労もなし、体は多少疲労していましたが許容範囲内です。となると着目するべきはブレスの問題です。
次に分析するのは、ブレスの呼気と吸気どちらにより大きな問題があるかです。
- 吸う時に頑張って吸おうとして余分な力が入る。
- 吸っている量が少ないので吐く量が少なく、発音に至らない。
- お腹を膨らませようとして逆に吸えていない。
- 「イ」の発音ですするように息を吸ってしまっている。
- 呼吸筋が固まってしまっていて上手く吸えていない。
ざっくり挙げてみるとこんな感じしょうか。
この中から一つ、または二つ以上のものが原因だと私はまず推測しました。
絞り込んだ原因が本当に正しいかを検証する
原因を絞り込んだ後に私は必ずその原因が本当に正しいのか、実際に自分を内観しながら検証をしていきます。
この時に避けるべきなのは、難しい曲やパッセージを用いて検証をしてしまうことです。
普段の自分ならこれくらいは吹けるのだからと高を括ってしまいがちですが、そもそも調子が悪いのですからそんなにレベルの高いことを今の自分にできるわけがないのです。
行うべきは最もシンプルなこと、音を出すという動作について深く観察していくのが重要です。
- 確認するために使った練習:ロングトーン(テンポ60 / 8拍)
- 確認方法1:少ない量で良いので、楽に吸う。
- 確認方法2:数拍をかけてゆっくりたくさん吸い、発音する
- 確認方法3:タンギングをゆっくり行い、舌が息の栓になっていることを意識する。
上記をしばらく繰り返すうちに、確認方法1の「少ない量で良いので、楽に吸う」で確実な効果を実感しました。まずそれまで出ていたドッペルが消えたのです。
そしてこの時同時に、確認方法2の「数拍をかけてゆっくりたくさん吸い、発音する」を試しているうちに、お腹を異様に膨らませようとしていることに気が付きました。これは息を吸っている感を自分で感じたいために無意識のうちに行っていたのです。
これらの結果から、今回のマインドセットを決めていきます。
・たくさん吸えなくても良いので、まずは楽に呼吸をする。
・体が慣れてきたらお腹でななく出ている音にフォーカスして、呼吸を深めていく。
ここまで来れば、あとは実行あるのみです。
量よりもまずは自分が快適に吸えているかを基準にロングトーンを繰り返していると、次第に唇が息に反応してくれるようになってきました。
恐らくそれまで息にパワーを無理にかけようとしていたため、唇がある程度強い息でなければ反応しないようになっていたのでしょう。(息に対する唇の感度の低下)
次に吸っている感を出すために不要な筋肉(お腹周辺)を固めて演奏しようとしていたため、本来使われるべき呼吸筋が機能しなくなっていました。(呼気の効率悪化)
私はしばらくの間無理な演奏を一切取りやめ、自分の楽な状態を取り戻してキープできるよう専念することを決めました。ここからどう変化していくかはまだ未知数ですが、今までの経験上問題なく平常の状態まで戻ることができるでしょう。しばらくは経過観察です。
まとめ
今回私が行った自己診断の流れを改めてまとめてみます。
この流れ、実は皆さんにとって身近なことでもあります。病院にかかった時の医者の診察とよく似ていますね。
医者はまず患者が「喉が痛い」と言えば、「風邪じゃないだろうか」と推測します。実際に風邪かどうか、診察をして判断し、診察結果に見合った処方箋を出して経過観察をします。
私たちは演奏者は、自分自身にカルテを渡す医者のような立場であることを目指すべきです。
これはセルフマネジメントの面や、レッスンをする側、される側という他者とのかかわり方にも大きく役に立ちます。
楽器の調子が悪いなと感じた方、ぜひ医者になった気分で自分自身に問診をしてみると、解決策が見えてくるかもしれません。
今回はここまで、それではまた!
「調子が悪い!」と感じた時に、本当にそれは不調からくるものなのか、いったん立ち止まって読んで頂きたい記事です。