悩んでいる人
こんな方にオススメの記事です。
この記事のもくじ
はじめに
こんにちは、Hikaruです。
バルブオイル比較も第三弾となりました。
ここまでくると私自身も初めて使うバルブオイルが多く、更にクセの強い個性豊かな製品ばかりです。
こんなものがあったのかと、ぜひバルブオイル選びの参考にして頂ければ嬉しいです。
今回もタイトルの通り「超個人的」な感想・レビューになりますので、非常に主観的な内容になりますので、ご承知おきください。
各バルブオイルの紹介
使用楽器:クイーンブラス、ゾロトランペットCustom Biult ModelⅡ
主管グリス:トロンバ製
マウスピース:オリジナル(ハグストロムモデルベース、マウントバーノンバックボア)
条件:各オイルの使用前に古いオイルを落とし、ピストン・ケーシング・各抜き差し管を洗浄。
- ウルトラピュア
- ウルトラピュア(ウルトラライト)
- ウルトラピュア(ブラックラベル)
- ノマド
- アリシン
- アイルリッヒ
①ウルトラピュア
1990年にバルブオイルメーカーとして誕生したウルトラピュアのバルブオイルです。
メーカーサイトを見たところ化学合成で精製されたオイルのようで、比較的粘度が低いサラサラしたオイルです。
不純物を極力減らすように改良されており、スムーズなピストンワークを実現するために気泡が発生しないようになっています。
個人的にはPDQによく似た粘度を持つバルブオイルだと感じています。そしてPDQは石油系、ウルトラピュアは化学系(シリコン系)なので、それぞれの違いを体感しやすいのではないでしょうか。
石油系は揮発しやすいですが音色が明るくなりやすく、広範囲に拡散するような音になります。
シリコン系は揮発しにくく、音色がある程度落ち着いてまとまりやすく、塊で飛んでいくような音になります。
ウルトラピュアはしっかりした響きと軽やかな音色を持つオイルで、非常にバランスの取れたバルブオイルです。
PDQに並んで人気があり、無臭かつゴミも溜まりにくいので非常に扱いやすいバルブオイルの一つです。
①ウルトラピュア pic.twitter.com/NrnJBBDbk8
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
②ウルトラピュア(ウルトラライト)
①のウルトラピュアよりも更に粘度を軽くしたバルブオイルです。ウルトラピュアがヤマハで言うライトなら、こちらはスーパーライトにあたる製品です。
あまり古い楽器だとオイルが流れていってしまいますので、新品の楽器や精度の高い楽器に使うのがオススメです。ヤマハやシルキーとは相性抜群でしょう。
軽い粘度のためピストンワークが非常に軽く、僅かな引っ掛かりもないのでミスできない本番などで効果を発揮してくれます。
ヤマハのスーパーライトに近い明るい音色と軽い吹奏感を持ちますが、スーパーライトほどすっぽ抜けるほどではなく、また音色もややまとまっています。ヤマハのスーパーライトでは抜け過ぎるが近い吹奏感と音色が欲しい方は、こちらのバルブオイルを試してみると発見があるかもしれません。
②ウルトラピュア(ウルトラライト) pic.twitter.com/ePspn2DCPS
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
③ウルトラピュア(ブラックラベル)
ウルトラピュアの中で最も粘度が高いバルブオイルとして製作され、日本では比較的最近発売された製品です。
とは言うもののそこまで極端に粘度が高いわけではなく、ヤマハのレギュラーやバックより少し粘度が高い程度のバルブオイルになっています。
新品の楽器だと少しピストンを重く感じるかもしれませんが、少し使い込んだ楽器であれば程よくケーシングのクリアランスを埋めてくれるでしょう。
粘度が高いオイルの特徴同様、やや強い抵抗感を持っているので使用する場合には息をしっかりと流してあげる必要があります。音色もほどよく身の詰まったものになるので、好みは分かれるかもしれませんがハマる人にはハマるタイプのバルブオイルです。
③ウルトラピュア(ブラックラベル) pic.twitter.com/fV7XpO4TBW
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
④ノマド
ギター・ドラム等の楽器ケア用品メーカー、MUSIC NOMADが販売している金管楽器用のバルブオイルです。
石油フリーで製作されている、化学合成系のバルブオイルです。
指で触ってみた時点でかなり粘り気があるため、③のブラックラベルよりも粘度が高いのは間違いないでしょう。
トランペットに使う場合には古い楽器でないとクリアランスを埋め過ぎてしまうためピストンの動きを阻害してしまう可能性があります。低音楽器への使用をオススメします。
今回使用した楽器は比較的新しいためかなりの抵抗感があり、音色は丸めでやや張りのあるものになりました。個人的には違う楽器でまた試してみたいと思えるバルブオイルです。
④NOMAD pic.twitter.com/v2lEdVeJj2
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
⑤アリシン
NASAとの共同開発で生まれたと謳われているアリシン社のバルブオイルです。
アリシン社は元々は車のエンジンオイル等を開発している会社で、その延長で管楽器用のバルブオイルを開発したようです。
数滴の注油で問題ないと謳われているように、非常に高い粘度を持つバルブオイルで、今までの紹介してきたバルブオイルでも最大級です。こちらも④のノマド同様、指で触って分かるレベルです。
ノマドよりは響きの多い音になりますが、基本的には質量で押していくタイプの音色です。抵抗感はアリシンの方がやや軽く感じられ、トランペットであっても扱いやすいバルブオイルでしょう。
他のバルブオイルと混ざるとバルブの動きを阻害するので、使用する際には必ず楽器を綺麗にしてからにしましょう。
⑤アイシン pic.twitter.com/Cs7TNOSIdx
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
⑥アイルリッヒ
マウスピース製作や楽器修理、調整も行っている日本のマイスター、アイルリッヒが出しているバルブオイルです。
こちらは山野楽器ウインドクルーが主に扱っている製品となります。
粘度は軽く、よく抜ける吹奏感ですが凝縮された厚みのある音で、例えるならばPDQからエッジを取って丸さを加えたような不思議な音色です。張りはあるが丸い、と表現するのが正しいでしょうか。吹奏感と出てくる音のギャップに、初めて吹いた時少し頭が混乱しました。
個人的にはPDQがポップス寄りの音色であるならば、こちらはよく似た音色ながらややクラシックに寄ったものだと感じました。吹奏楽などで演奏される方は一度試してみる価値のあるバルブオイルです。
⑥アイルリッヒ pic.twitter.com/ndR0dhdbqX
— Hikaru (@Hikaru_tpiano) October 11, 2020
まとめ
前回同様、バルブオイルについて各オイルのレビューと実際の演奏を比較で載せさせてもらいました。
私は実際に吹いている側なのではっきりと違いを感じることができますが、映像と音声だけではなかなか違いが分からなかったり、違いが分かっても感じ方が私と違うという方もいらっしゃるかと思います。
またバルブオイルは楽器との相性もあるため、一概に「このオイルを使えば必ずこのような効果が得られる」とはならないのが難しいところです。もちろん傾向はありますが。
多くのメーカーを吹き比べてみると、それぞれのメーカーが色んな思いを持って製品開発に取り組んでいるのを文字通り肌で感じられます。
今回は特に楽器とは無関係の分野や、ギターなど弦楽器をメインに扱うメーカーが製作したバルブオイルをいくつか紹介しました。他の分野で培った知識や技術を私たち楽器の分野に生かしてくれるのは、本当にありがたいことです。
今後もこのように新しい製品が生まれ、私たちの手に届いた時に様々な変化を楽しむことができるかもしれませんね。
今回はここまで、それではまた!
バルブオイルの比較記事第一弾です。

バルブオイルの比較記事第二弾です。

バルブオイルの比較記事第四弾です。

スライドグリスの比較もしています。
